読書感想文と読解力
こんにちは。早慶維新塾・国語担当の青山雄一(あおやま ゆういち)です。
もうすぐ冬休みです。
長期休みになると必ず聞かれることがあります。
「学校で読書感想文が宿題となっていますが、どの本を読んだらいいですか?」
「どんな本を読めば読解力につながりますか?」
読解力につながる本・・・いつも考えるのですが、
「ずばり、こういう本です!」
とは答えられないというのが現在の結論です。
(今後も同じだと思います。)
興味をもって読めるかどうかという問題もあります。
興味が全くない本を読ませても苦痛なだけで何も力はつかないでしょう。
お子さんの現在の力にもよります。
難しすぎる本を読ませても、やはり苦痛なだけです。
お子さんが少しでも面白いと思えて、難しすぎない本ならば何でもいいでしょう。
気を付けてほしいのは、やはり読み方です。
しかし、多くのお子さんは読み方といってもわからないのが現状でしょう。
過日、ある小学校低学年のお子さんに『蜘蛛の糸』という絵本を読んでもらいました。
終わった後に感想を聞いたのですが、
「自分だったら、もっと早く登れるから大丈夫!」
という感想でした。
子どもらしくてほほえましいと思ったのですが、皆さんはこの感想どう思いますか?
読解力という点でいうと、第一段階はクリアしています。
第一段階は
・ 物語の中でどのような登場人物が何をしたのか、それでどうなったのかを把握している
ということです。
つまり、ストーリーがわかっているということです。
カンダタという男を哀れんだお釈迦様が極楽浄土から地獄にむけて蜘蛛の糸を垂らした。
その糸を登っていったカンダタだが、下からたくさんの人が登ってくるのを見て、
「俺の糸だ!はなせ!」
と叫んでしまい、その途端糸が切れてしまった。
7歳のお子さんでしたので、ここまでわかっていることは評価してあげていいと思います。
しかし、第二段階はクリアできていません。
第二段階は
・ この物語で作者が言いたいことは何かを把握している
ということです。
このお子さんには、
「カンダタは君のように早く登れない人なんだよ。どうしたらよかったのかな?」
と聞いてみました。すると、
「独り占めしたのが悪かった。順番に一人ずつ登るようにすればいいんだよ。」
という答えでした。
(実は、この答にも感心しました。カンダタはたくさんの人を救うという善行を行えるチャンスだったのか、
と大人が考えさせられてしまっています。)
ここまでくればしめたものです。
「じゃあ、この物語は独り占めしたらイケナイってお話なんだね。感想文にそれを入れたらどう?」
と伝えれば、完了です。
この後も、いろいろな本を読ませた後に必ず
「登場人物はどうしたらよかったのかな?」
等を問い続ければ、だんだんと自分から答えられるようになってきます。
はじめは何を読めばいいのかすらわからないものです。
結局、読解力をつけるのは本の選び方よりも、
どのように読むかという部分にかかってくると思います。
冬休みですから、お子さんと一緒にいる時間もとれるかと思います。
お子さんが本を読み終わった後に、ちょっと感想を聞いてあげてください。
そこでのやり取りが、読解力向上の第一歩になるかもしれません。